前回紹介したJoey Bada$$を筆頭にCapital Steezが地元ブルックリンのイケてる次世代ラッパーたち集結させて結成されたハイスペックヒップホップ集団『PRO ERA』から、個人的に特に好きなNyck Cautionをレビューしていきたいと思う。
彼の何が好きかというとラップの『キレ』、ここにある。
それは一度耳にして頂ければ感じていただけるだろう。
そして今回フィーチャリングしているラッパーが、対極とまではいかないものの粘り系のラップが強い特徴となるDenzel Curryを起用している点でもこのコントラストに注目して頂きたい。
レビューする ”BAD DAY” はというとMVの冒頭にWARNINGと表示される通り、これは危険な作品だろう。
なぜなら中毒性が非常に高いからだ。
Nyck Cautionのドライブ感のあるラップから始まり、Denzel Curryへとバトンタッチ。
そう、ド頭からラリー形式に掛け合いのラップになっている。
言うまでもなく大好物。
Nyck Cautionのラップの破裂音の気持ち良さも重なり、自然と体を揺らしてしまう。
HOOKではDenzel Curryのまるでグリム童話の世界に出てきそうなノスタルジックなフローで聴く者の耳から毒を盛る。みんな中毒になってしまうだろう。
トラックもベースが唸り散らかしており相当主張が強いサウンドではあるが、ラップも負けることなくしっかりと釣り合いがとれるほど主張できている。
なかなかこのトラックをコントロールできるラッパーは多くないのではないだろうか。
PRO ERAでは、この楽曲を後に1年以上リリースがないが、この中毒性があるが故に定期的に聴きに戻ってきてしまうのだ。
気分が落ちている日などに聴くと振り切るためのエネルギーを充電できる。
まさに “BAD DAY” な時にオススメな作品である。