この楽曲は実際にはロンドン出身のイギリス人ラッパー『DURRTY GOODZ』がOG ROOTZ名義に変名後にリリースされた楽曲になるのだが、あるBeefが発端となっている。
簡易的に説明をするとUSの超人気ラッパーでもある “Drake” がUK発祥のHIPHOPカルチャーである『Grime』をパクったとして、UK Grimeの生みの親とも呼ばれているラッパー “Wiley” が「この文化泥棒!」とディスったことから始まり、Drake主催のレーベル【OVO】に対しても「彼だけが儲かり、アーティストは上にあがれないふざけた契約をさせられる。絶対に所属するな。」とSNSでも発言をしていた。
それらの言動に対して、Drakeは「GOOFY」とだけ答えた。
“GOOFY” つまり「間抜け」という意味。
このドレイクのアンサーに対してワイリーは「・・・」
そう、言い返していないのだ。
これを ”大人な対応” と取るのかどうなのかはさておき、ここで居ても立っても居られな苦なってしまったのが、OG ROOTZであり、制作された楽曲が『GOOFY』だ。
そして、この楽曲ではWileyの心情を用いてDrakeをディスるとともに、アンサーを出さないWileyにもブチギレており、両者に対してディスるという形になっている。
どうでしょう?
図式が理解していただけましたでしょうか?
一方、楽曲自体は非常にクリエイティブで、Grimeをさらに進化させたようなサウンドになっており、電子音や攻撃的なビートが印象的である。
そんなトラックに約5分間にわたり、淡々とライミングし続ける。
OG ROOTZのラップは後天的に身についたテクニックではなく、天性によるポテンシャルを感じるほどラップスキルが卓越しており、実に自然体のままエゲツないラップをカマしてくる。
口喧嘩でこんなに畳み掛けられたら、グーの音も出ないことだろう。
MVの冒頭の(Wileyのアンサーを)待ってんだけど来ないんだったら、俺から行くぞ?と言わんばかりの演出も個人的にはすごく面白いと感じる。
出だしのリリックでは、
誰がグーフィー?
お前の行動はすべてフルーティーだ
と始まる。
ウィットに富みすぎていて最高ではないだろうか。
興味がある方はその他のリリックもCheckしてみてほしい。
Beefでどちらか一方に加担することはよくあることがあるが、どちらもディスってしまうのはなかなか珍しい。
そんなところにも敬意を称したい。
話は変わるが、変な帽子を被るのも彼特有のスタイルの一つだ。
(すげ笠を好んで被っているのをよく見かける)
トータル的に見てもかなりユーモラスがあり、随所にヒップホップ的魅力を感じたりするのは私だけだろうか?
言うまでもなく彼もまた、私の好きなラッパーの1人であることに間違いない。
今回のように背景を知るとより楽しめるHIPHOPというのはたくさんある。
機会があればそう入った少し違った角度からHIPHOPを覗いてみてみることもオススメしてみたい。